2009年3月1日日曜日

改正基準法についての備忘録


 厳罰化・明文化された建築基準法。実務で直面すると法律よりもその運用面で色々「壁」にぶつかることが非常に多い。今後も国交省で問題点を改善していくだろうし、今はその過渡期に過ぎないのかもしれない。

 しかしその中でもリフォーム工事が非常に困難になってしまったことを、どれだけの人々が理解しているのだろうか?



 工場生産されたプレハブ住宅にお住いの方は特に用心して欲しい。かつての「大臣認定」が今は無効となり、特に昭和56年6月以前の木質系住宅は特例による救済対象からも外れている。
 例えば増築を伴うような工事の確認申請をすると、受付窓口から耐震診断を条件づけられてしまうが、プレハブ住宅、なかでも大型パネル接着工法の建物を耐震診断してくれる構造設計事務所は私が知るかぎり「無い」。
 実際リフォームの調査で色々調べ上げ、製造元の大手メーカーの担当者に相談したことがあるが、
「なんて法律を作ってくれたんだ、と我々も頭を抱えている」
と逆に嘆き声を聞かされる有り様。
 大手でも、専門家でもお手上げな診断を求められては、工事自体あきらめざるを得ません。

 確かに接着剤が強度を左右する建物で、それが永久に耐久性があるかは疑問だろう。
それに寿命が短いプレハブ住宅をより新しい基準の建物に建て替えさせる、という施策も背景にあるかもしれない。
 かつての夢のマイホーム、今は自分の財産である住宅に手を入れることを国によって違法となってしまうこの現状、周知が遅れていては改善の機運も育つものも育たない。

 そして何よりも気になるのは、法律を運用する側が罰則を恐れる余り、臆病になっている感触がある。これは結果的に個人の生活の創造という表現の巾を大いに狭めている事につながり、柔軟で活発な社会をめざすには悪い影響を及ぼす、と思うのです。

 「法律は蓄積された知恵の結晶」であるはずだが、運用面で如何様にも出来てしまう側面ばかり目立ち、昨今はその大きい触れ幅の危うさを感じています。

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