2009年2月10日火曜日

子を持つ親の為のスプーン



 このところ仕事の休憩時間に木製のスプーンを作っています。
 昨年生まれた娘の離乳食が始まり、歯もないのに硬く冷たい金属のスプーンを小さな口に差し入れるのが気になってしまったのがきっかけ。

 「家族とは、狩猟で得た食料を分配することである」という定義もありますが、この食料を口に運ぶというとても象徴的な行為に、まるでくちばしで餌付けしている親鳥の気分を味わっていますが、プラスチックも嫌だし、大人用や子供用のスプーンがあっても幼児用のスプーンはネットで探しても見つからないので、じゃぁ作ってみようと、先月訪れた狸庵のイグネから切り出した桜の木片からナイフ・彫刻刀をつかって削りだしました。


 これがとても難しく、奥深い。


 最初のは手の感触だけを頼りに彫り進めたのですが、あくまでも親の手で娘の口に運ぶ以外の動作には使いづらい。
 次はもう少し量を食べるようになってきたので、自分で持てるように口のサイズを測って製作。デザインが消化不良。

あとは端材で作ったお遊びの「スプーン状の置物」。

塗装は全て無塗装です。
飲み込まないようにとか、いろいろ安全性を考えるとキリがありませんが、あくまでも「子を持つ親のための」スプーンです。

 原初よりいつから人の手はこうした道具を使って食事をとったのでしょうか?設計でも特別な扉のドアノブは木工作家さんに依頼したりしていますが、人が物をつかむための皮膚感覚というのは、人間の意識とモノをつなぐ大事なインターフェースだと、日々思っているだけに、箸作りやカトラリーのデザインはとても興味あります。