2008年3月26日水曜日

スタードーム再び

週末、再びスタードームを製作しました。
 今度は竹林から実際に材料を切出し、加工して、組み立てという一連の作業に初めて取り組む作業でした。前回までのスタードームは「NPO法人笹舟」からの借り物でしたので、ようやく自分達(屋台プロジェクト)のマイドームが手に入るわけです。



 作業日は実に春らしい陽気に包まれた天気に恵まれました。集まったのは総勢12名。切り出す場所はメンバー自宅近くの鎮守の森からです。この森は竹に荒されているものの、入口の坂の下のアプローチからみる小さな参道の景色が実に美しい。鉈や鋸で竹を打つ音がとても心地よい場所でした。しかし竹を伐採となればその気分は消し飛んで、現場に走る緊張感。直径15cmとなると倒すにも多少の危険も伴います。声を掛け合い、協力しながらの作業です。
 また笹舟の会の方から竹きりの極意も学びました。「伐るときは節の上で」が原則とのこと。こうすれば節のところに水が溜まらず、ボーフラ即ち蚊が少なくなるそうです。



 さて、切り出したら場所をえずこホールの駐車場に変え、とっておきのランチを準備。メニューは森の帰り道でとった山菜の天ぷらです。フキノトウ、ノカンゾウ、タンポポ、ヨモギの若葉などが実に香ばしい春を口の中で咲かせます。器や箸も竹から作りだしました。あぁ幸せだな〜。



 こうして見ると、「材料〜加工〜組立〜使用」という流れを一日で体験できるというのは、建築の仕事をしていても非常に希有なことなのです。最近の偽装問題特有の「所在の不確かさ」というのが一辺の曇りもなく明らかなこの取り組みは、ものづくりに関わる全ての人々にとっても良いリハビリになるように思えました。

2008年3月21日金曜日

楮(こうぞ)の刈り取り

 日頃から参加している白石のグループ・蔵富人の楮(こうぞ)畑を手伝いました。

 楮とは和紙の代表的な原料となる植物です。白石和紙は今では珍しく地元の材料を使う製法にこだわり、白石の風土から生まれた紙は白く強靱で、長く東大寺の御水取りの僧が着る紙布として使われている程の品質を誇ります。しかし今ではたった1軒の工房がその技術を支えているのが現状です。
 8年前から「何らかの形で協力できないだろうか」と動き出したプロジェクト。あかりワークショップを開いて紙に触れるところから始まり、和紙作りを知るに連れ、原料確保の厳しい実情を知り、ついには原料づくりを始めるに至った次第です。
 和紙工房の遠藤まし子さんから親となる楮の株を分けていただいて、はや5年。土地の開墾の辛さも記憶に鮮やかですが、ようやく次なるステップである「黒皮づくり」に辿り着きました。

 今回は勉強が目的なので、刈り取りのシーズンからはややずれています。あいにくの雨空でしたが、6株から枝を収穫。一年でこれだけ伸びます。それを90センチの長さに切りそろえ、メンバーお手製の蒸かし器に詰め込みます。そして待つこと2時間。芯と皮が剥がれてきたら、皮剥ぎ作業の開始です。


 これが実に痛快な位に簡単に剥ける!温かい間はまるでソックスを脱ぐようにスルスル剥がれてきます。しかし調子に乗って細かくちぎれてしまったりする辺りがシロートです。辺りには蒸かしたてのサツマイモのような甘い香りが漂い、思わず剥いだ芯をなめてみると甘い!この正体は紙漉きには邪魔者のセルロースの甘さなんだそうです。


 あっけなく作業が終わり、並べられた黒皮の束を早速和紙工房へ。品質は劣るものは蔵富人特製「かすがみ」になります。僕がものづくりの師と仰ぐ遠藤まし子さんからも労いの言葉を頂きながらも、100あるという紙造りの工程のほんの序段から、ますますその奥深さを知る思いがしました。


 プロから見ればお遊びですが、聞くとやるでは大違い。あの芯の甘い味を忘れることはないでしょう。イキモノがモノになる大事な過程を、まさしく味わえた貴重な体験でした。

2008年3月14日金曜日

病院で容れ立ての珈琲を飲むには・・・

僕には入院中で身重のツマがいますが、毎日のように飲んでいた珈琲が飲めません。

点滴チューブにつながれているので喫茶店で容れ立てのコーヒーを飲めるような状況になく、かといって自宅で使っている道具を持ち込む訳にも行かない。
ちょうどそこにキャンプなどの野外イベントや、あるいは普段使いできる様にと取り寄せたドリッパーが到着。それがこの「カリタ ニューカントリー102」です。


これは単純な作りですが、上の器にお湯を注ぐと小さな穴からコーヒー豆に蒸らすように降り注ぎ、手軽にドリップ式珈琲が容れられる優れ物。僕が設計事務所に弟子入りしたときに同形のポットがあり、朝の掃除が終わると打合せ前に必ずこれを使って始まりの一杯を容れるのが僕の日課でした・・・。

「おおっ、これならお湯さえあれば病院でも飲めるぞ」と早速面会に持参しました。
これを見せた時の彼女の目の輝きようといったら、まるで砂漠の中のオアシスを見つけたがごときです。お湯が談話室のポットから、粉はおまけのブレンド豆でしたが、念願の容れ立てを二人で飲むことができました。
(もちろん彼女は量を控えめに)

ホワイトデーを彩るには素敵な助っ人でした。

2008年3月11日火曜日

芹と出会う旅

先週末、ナトリの農家である三浦タカヒロ氏主催の「なとり農と自然の学校」に参加してきました。今まで同じ街に住んでいながら味わったことのない土との触れ合いと、芹畑の水面から風土の素顔を見た気がしました。それは心安がる穏やかな風景でした。
されど、機械化できないこの作業。厳冬時の収穫や出荷の作業の大変さは想像を超えます。スーパーの何気なく見ていた芹も貴重に思えてきます。
そしてお待ちかね、摘み立てを鴨肉の鍋で味わう「芹しゃぶ」の香り高い味は絶品でした。鳴子の限定日本酒も出て、うさぎが遊ぶ縁側の日なたに座れば、ぽかぽか温かい日差し。
とても幸せな日でした。

スタードーム組み立てに挑戦

今日は「スタードーム」を仲間と組み立ててみました。
もともとは美術家・藤浩志さんの講座で知ったのですが、簡単な構造と身近な素材である竹で作るシェルターに惹かれ、作る機会をうかがっていました。今年は顔を出している色んな団体で街に仕掛ける企画が浮上していたので尚のこと。
ところがひょんなことで知人にスタードーム経験者がいて組立を体験できるチャンスが転がり込んできたのです。
お借りした材料の劣化などに手間取って組立に2時間半。組み立てる法則を憶えさえすればいいのですが、意外にムズカシイ・・・。

しかし「せーの!」でドーム状に立ち上がる瞬間は興奮!どうしてモノが立ち上がる瞬間とはこうも感動するのでしょう。

今回は試作なので、今日中に分解しなくてはなりません。でも思わず入りたくなる魅力がいっぱい。あぁ、ここで酒が飲みたい、寝ころびたい、住みたいと皆が笑顔。いいねぇ・・・。

そして分解。かかった時間はたったの15分でした。