新年明けましておめでとうございます。
昨年はこれまでお世話になった方々に多くの励ましやご厚意を頂き、
また新しい取り組みの中で新しい出会いも生まれ、
改めてモノづくりの奥深さを知るとともに、
人と人の関わりにこそ魅力的な建物やデザインが結実されることを実感した一年でした。
更なる精進と、私にしかできない可能性を深く広く探求し、
時代の潮流に目を背けず、
永く愛され、笑顔に満ちたモノづくりと場を創っていきたいと思っています。
本年も宜しくお願い申し上げます。
海子揮一
2011年も7日経ち、年賀状の版木を新聞紙に包んで棚にしまいました。
木版画で年賀状を作り始めて何年になるのかな…。確か高校の時が最初で、自分が関わった建築を描き始めたのは2006年から。なんとか5年目を無事終えたことになります。
年末ぎりぎりまで忙しい業界なので、いつも彫り始めはその年の年末から。いや、元日の朝にようやく作り始める、ということもしばしば。
初詣以外は外出せず、ひたすら年賀状の製作に3日間を当てます。思う存分に創作に没頭できるには最高のタイミングですが、妻の献身的な協力に支えられつつも、子どもが大きくなってくると難しいかな…とも感じ始めています。
枚数も年を追うごとに次第に増えていっているし、きっといつかは限界にくるかも知れません。
木版画にこだわるのはシンプルに楽しいからですが、
メールやツイッター全盛の時代に、手書きのものは普段の手紙でも少なくなってきています。
手書きの文字の震えやインクの滲みからは活字にはない送り手の心模様が伝わってきて、受け取ると心が温ままります。相手にもその気持ちを受け取ってほしくて僕は手作業で年賀状を作っているのだと思う。
私の仕事は大量生産品を作ることではなく、「誰か」の為に生み出すという送り手と受け手のキャッチボールの間に存在しています。
「不特定多数に送ろうとすると手間を省くことを考え、質が低下してしまう。」
というのは版画用紙を買いに必ずお邪魔する白石和紙工房の遠藤まし子さんの言葉。
だからせめて年賀状位は単なる「送り物」ではなく、「贈り物」にしたい。
私もその気概がある間はこの年末年始の作業をコツコツ続けていきたいと思っています。
今年の図案は「烏兎の森の家」でした。
ちなみに背景の山は仙台の三角峰である太白山。この古名が「烏兎が森」なのです。
烏(カラス)は太陽あるいは星のシンボル。
兎は月のシンボル。
海上からもすぐ見分けが付くピラミッド上の太白山は、太古から船乗りたちの信仰の対象だったのです。頂上の貴船神社には、今でも海上の安全を祈願しに漁業関係者が訪れるそうです。
この木版画、擦り方や配色はそれぞれ作りながら変えていっています。
だから1枚として同じハガキは存在していません。また、版画が楽しくなってきて必ず追加でもう一枚つくるので、全シリーズを所有している方もいないはずです。
いつかポストカード集でも作ってみたいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿