やっと読み終えました、カルロス・ルイス・サフォンの「風の影」。
本当に小説を読んでいなくて、読書のエンジンが暖まるのにずいぶん時間を浪費した。
初めの30ページをめくるまで半月、それから上巻半分までが1週間。
しかし上巻の残りと、下巻全ては1日かからなかった。
読み終えたのが今日の午前3時。
入れ子構造の小説の城郭都市の内部にいるような気分のまま床についた。
(『霞の天使』の館そのものがバルセロナの都市の象徴でしょうね。)
書評するほど物を知らないが、ゴシック小説の装飾を纏った人間の孤独と和解の物語だった。
そして何よりも読書の奥深さと意味について再び教えられた。
「本を読まなければ本当の自分を見ることはできない。」という小説のセリフの通り、バルセロナの思い出が五感と共に鮮明によみがえった。
サグラダファミリアの尖塔のてっぺんの小便の匂い、パリからバルセロナへ向かう列車のコンパートメントの夜の孤独、石の通りに響くバルからの笑い声。
ただの自慢話になりかねない、けれども紛う事ない確かな記憶の一部を共有できた、幸福な時間。
おもしろかったですよ。misaoさん。
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