日頃から参加している白石のグループ・蔵富人の楮(こうぞ)畑を手伝いました。
楮とは和紙の代表的な原料となる植物です。白石和紙は今では珍しく地元の材料を使う製法にこだわり、白石の風土から生まれた紙は白く強靱で、長く東大寺の御水取りの僧が着る紙布として使われている程の品質を誇ります。しかし今ではたった1軒の工房がその技術を支えているのが現状です。
8年前から「何らかの形で協力できないだろうか」と動き出したプロジェクト。あかりワークショップを開いて紙に触れるところから始まり、和紙作りを知るに連れ、原料確保の厳しい実情を知り、ついには原料づくりを始めるに至った次第です。
和紙工房の遠藤まし子さんから親となる楮の株を分けていただいて、はや5年。土地の開墾の辛さも記憶に鮮やかですが、ようやく次なるステップである「黒皮づくり」に辿り着きました。
今回は勉強が目的なので、刈り取りのシーズンからはややずれています。あいにくの雨空でしたが、6株から枝を収穫。一年でこれだけ伸びます。それを90センチの長さに切りそろえ、メンバーお手製の蒸かし器に詰め込みます。そして待つこと2時間。芯と皮が剥がれてきたら、皮剥ぎ作業の開始です。
これが実に痛快な位に簡単に剥ける!温かい間はまるでソックスを脱ぐようにスルスル剥がれてきます。しかし調子に乗って細かくちぎれてしまったりする辺りがシロートです。辺りには蒸かしたてのサツマイモのような甘い香りが漂い、思わず剥いだ芯をなめてみると甘い!この正体は紙漉きには邪魔者のセルロースの甘さなんだそうです。
あっけなく作業が終わり、並べられた黒皮の束を早速和紙工房へ。品質は劣るものは蔵富人特製「かすがみ」になります。僕がものづくりの師と仰ぐ遠藤まし子さんからも労いの言葉を頂きながらも、100あるという紙造りの工程のほんの序段から、ますますその奥深さを知る思いがしました。
プロから見ればお遊びですが、聞くとやるでは大違い。あの芯の甘い味を忘れることはないでしょう。イキモノがモノになる大事な過程を、まさしく味わえた貴重な体験でした。
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